現代美術と彫刻概念の拡張 教授 河口龍夫
現代美術における彫刻は、彫刻概念を変貌させ、拡張させながら、その表現を多様化させ表現領域をも拡張させています。例えば、既成の彫刻概念による彫刻においては、彫刻素材に相応しいとして木なり石なりを彫ったり刻んだり刷る場合があります。この場合は、彫刻による表現を木なり石なりと言った既成の彫刻素材から出発するような表現であります。ところが、現代美術としての彫刻においては、芸術家の表現したいものは何かを問い、その問いからの出発を重要視するようになってきました。そのことにより、より表現目的に相応しい素材を芸術家自身が自由に選択することができるようになったのです。さらに、その表現は現代との関係を思考することにより、芸術家が自己表現を超えた普遍的な表現の可能性を求めるようになってきました。このように芸術家そのものの変貌が、彫刻概念の拡張をもたらしたように思われます。今こそ、彫刻が現代と真剣に向き合い、彫刻の本質を求め、その本質を表現の可能性と捉え現代に相応しい芸術表現とはどのような表現なのかがその拡張に問われていることでもあります。
倉敷芸術大学HPより
http://kusa.weblogs.jp/arts_16_4/cat2743446/index.html
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