アートプロジェクトまとめ 3

まとめると

’90年代後期は活動団体発足と拠点の形成(ハードの充実)
’00年代後期は拠点を持たない活動の発生(ソフトの充実)

が行われていると言える。ということは、AAFやアートNPOリンク以外のネットワークがこの数年で拡充し’20年にはハード・ソフトをつなぐネットワークの構築がほぼ完成を迎えるのではないだろうか。芸術のネットワーク化にはインターネットの役割も非常に重要になるだろうと思う。今、海外の活動体にふたたび注目が集まっている。ヨーロッパではなくアジア圏内のアートシーンが徐々に注目を浴びていっているのも興味深い。

だが日本のアートプロジェクトは袋小路に入って来ていると私は考える。
アーティストが各地域のプロジェクトを巡り歩き生活すると言う事も可能になりつつある。おそらく20年前の日本では考えられなかっただろうアートシーンが作られつつあるのは確かだ。
現在のアートプロジェクトは「まちづくり」というキーワードで社会と繋がっている。そのため社会的評価のほうに振り回されてしまっている現状が強く、芸術表現の中でも政治的表現や過激表現はまったく認められていない。
これからアートシーンを広げるためには、一旦「まちづくり」と「アートプロジェクト」を引き剥がして、大きな単位、あるいは違う単位での「アートプロジェクト」に挑戦することが必要なのではないだろうか。
「まちづくり」と「アートプロジェクト」を離すということはプロジェクト運営のための助成金から少なくとも少しは離れるということだ。金銭的自律をしたアートプロジェクトはすでに始まろうとしている。「コマンドN」としてアートプロジェクトの第一人者であった中村政人による「アーツ千代田3331」は有限会社コマンドAが行うプロジェクトがその初めてのケースになるだろう。アートプロジェクトの新しい歴史はすでに始まってしまっている。
私たち’80生まれの世代は「アートプロジェクトの自律」を別の角度から試みる必要がある。

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