「学生アンケートによる伝統的工芸品のイメージ分析―職人の技術伝承に関する基礎的研究―」市川裕樹 2005年

輪島の漆サミットで基調講演されていた四柳先生が出されたデータで、一度本物を見た若者は、伝統工芸品に関心を抱きやすいというデータが出ているとして市川裕樹の以下の論文を引き合いに出していた。はたしてそうと言えるのか。

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http://www1.tcue.ac.jp/home1/c-gakkai/kikanshi/ronbun8-2/ichikawa.pdf
「学生アンケートによる伝統的工芸品のイメージ分析―職人の技術伝承に関する基礎的研究―」市川裕樹 2005年

「特徴的なことは、伝統工芸品を見たことのある学生が、ない学生よりイメージする項目として、「高価」・「保護」・「鑑賞用」を選択している点である。これは、工芸品の「美術品的側面」を強く捉えており、生活に身近な「日用品的側面」はイメージされていないと考えられる。」

「学生に関していえば、伝統工芸品に対して特別な興味や関心がない限り、日常的に
工芸品にふれるという体験はなく、工芸品は美術館や博物館における鑑賞対象物となり、その製品的価値を見いだすことは困難になるだろう。」

「この調査からも明らかなように、現在の学生(若年層)にとって伝統工芸品は「職人」、「手工業」、「少量生産」という生産体系に関するイメージを除けば、「文化財」、「高価」、「保護」など実用的側面ではなく、美術品的鑑賞物のイメージをもつことになる。これは工芸品が、我々のライフスタイルに適合しなくなったうえ、一品一品が職人による手づくりという特徴から値段が高価になり、一般消費者から遠ざかるとともに、その実用性を発見できず施設で見るモノになってしまったと考え
られる。
 ただしこの調査で、学生がイメージした伝統工芸品が、美術工芸品や民芸品ではなく、産業製品としての伝統的工芸品なのかという点が問題として残る。したがって、一概にこのイメージ調査から、伝統的工芸品産業についての危機を言及することは難しいが、学生が高齢化や後継者不足といった伝統的工芸品産業の問題を漠然としながら捉えていることから、伝統的工芸品産業の施策のあり方について何らかの示唆を与えるものではないかと考える。」

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