生きるということ

菅啓次郎さんは今わたしが所属している専攻の教授です。
担当教官ではないのですが、新書を漫画家の小池桂一さんと共著で発刊されました。今月出した本なので書店で平積みになっているかも。帯に惹かれて読みました。

んで、序章ですっかり巻き込まれた。
今の先住民の文化の形にあこがれているほとんどの人々はもしかしたら自分と先住民の無関係性に、あまり折り合いをつけていないのかと思うときがある。つけてしまうと結局、血のつながりも土地のつながりもないし無関係ジャン、となってしまうのを恐れているんじゃないかと私は自分のことを棚に上げて訝しむ。
私自身も土地と自分の立ち居値に折り合いをつけていないからなのだけれど。

けれど、マネをマネだと潔く(実際はそうではないと思うけれど)言い切って、彼らがその地で生きてきたことへの深い敬意とともに、たくさんの括弧つきで慎重に語られる先人たちの思想と儀礼。小気味よい文章だった。


たとえば、先住民に対する敬意の感覚が似ていると思ったのは星野道夫。彼はあの土地で生活して、結婚して、あの土地で死んで、あの土地の人になったと私は思う。

その土地の人間としてのIDを持つ一番簡単な方法は、その土地で子供を育てることだと思う。あまり賛成はできないけど。(そうできないことがあまりにも多いし、自分自身そうできるかわからないし。なにより子供の後々の葛藤を考えてしまう(笑)
それ以外の方法を示そうとしているこの本には、心打たれるものがある。

----------


ばかばかしい模倣だって?そうだろう、でもぼくはそこに大きな可能性を見ずにはいられない。(p24)

コメント