日本映像学会写真研究会で研究発表を行います
日本映像学会写真研究会で研究内容を発表します。概要は以下の通り。
【日時】
2019年3月24日(日) 14:00開始 17:00終了予定
発表後に質疑応答の時間があります。
【会場】
京都精華大学 清風館C101
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
【発表者・発表内容】
発表1
「北海道リアリズム――「長万部写真道場」から辿る1950年代の集団撮影活動の事例について」
中村絵美(美術家/北海道開拓写真研究協議会代表)
発表2
「写真のなかの扉――ウジェーヌ・アジェの「敷居経験」について」
久保和眞(大阪大学大学院言語文化研究科言語文化専攻博士後期課程/ゲスト)
http://jasias.jp/archives/5721
こちらも、以下に自分の発表要旨を転記しておきます。
北海道リアリズム――「長万部写真道場」から辿る1950年代の集団撮影活動の事例について
北海道・長万部町で1951年に「長万部カメラ倶楽部」という名称で発足し、1967年「長万部写真道場」と名称を変えながらも、約40年間活動を続けたカメラクラブ(以下、写真道場と総称する)と、初期から解散までの写真道場の活動を支えた長万部出身の澤博(1924〜2012)の写真活動を検証する。また1950年代に、<生活派>と自称しリアリズム写真の影響を反映していた北海道の写真家集団について紹介する。
本発表は、澤博の没後、遺族が保管していた数千カットに及ぶフィルム、プリントを借り受け行っている調査・整理活動の成果とともに、長万部写真道場や被写体関係者の協力を受け、2018年、2019年と長万部町で開催した連続写真展、フォーラムの成果をあわせた発表内容とする。
写真道場は、地元・長万部町を主要な撮影地とし、町中で働く人々や開拓農家、漁師といった、町を支える人々の多様な生活の姿を継続的に写真に収めた。彼らの写真活動の特徴は一つの地域を網羅的、長期的に、集団撮影していったことにある。中心的な会員は、土門拳が提唱した<リアリズム写真>の影響を色濃く受け、カメラ雑誌の月例欄や公募写真コンテスト、道展写真部門などに応募した。澤博らは全国、全道のアマチュア写真家と実力を競う<地方>のアマチュア写真家の一人であった。また、道内写真家の中でも早い段階に月例で評価を受けていた人物の一人、掛川源一郎(1913~2007)が、長万部町とは鉄路で一続きにある伊達市に当時在住しており、1958年から澤ら写真道場のメンバーと交流を行っている。掛川の代表作の一つである写真集『大地に生きる――北海道の沖縄村』(1980、第一法規出版)の撮影には、澤ら掛川を慕う撮影地在住の写真家の尽力があったことを本発表で示す。こうした広域の写真家同士の交流に関わって1950年代、北海道のアマチュア写真家で、特にリアリズム写真の傾向がある作風の集団が<生活派>と自称する。1958年、掛川が中心となり、澤ら写真道場の会員を含めた、地域を横断した写真グループ「道南写真作家集団」、同年12月に「現役作家のみによる自主的な集団」として別組織「北海道写真作家集団」が組織された。こうした道内写真家たちの活動については調査途上の段階であるが、写真道場の活動を検証する上で不可欠な要素と考え、紹介する。
【日時】
2019年3月24日(日) 14:00開始 17:00終了予定
発表後に質疑応答の時間があります。
【会場】
京都精華大学 清風館C101
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
【発表者・発表内容】
発表1
「北海道リアリズム――「長万部写真道場」から辿る1950年代の集団撮影活動の事例について」
中村絵美(美術家/北海道開拓写真研究協議会代表)
発表2
「写真のなかの扉――ウジェーヌ・アジェの「敷居経験」について」
久保和眞(大阪大学大学院言語文化研究科言語文化専攻博士後期課程/ゲスト)
http://jasias.jp/archives/5721
こちらも、以下に自分の発表要旨を転記しておきます。
北海道リアリズム――「長万部写真道場」から辿る1950年代の集団撮影活動の事例について
北海道・長万部町で1951年に「長万部カメラ倶楽部」という名称で発足し、1967年「長万部写真道場」と名称を変えながらも、約40年間活動を続けたカメラクラブ(以下、写真道場と総称する)と、初期から解散までの写真道場の活動を支えた長万部出身の澤博(1924〜2012)の写真活動を検証する。また1950年代に、<生活派>と自称しリアリズム写真の影響を反映していた北海道の写真家集団について紹介する。
本発表は、澤博の没後、遺族が保管していた数千カットに及ぶフィルム、プリントを借り受け行っている調査・整理活動の成果とともに、長万部写真道場や被写体関係者の協力を受け、2018年、2019年と長万部町で開催した連続写真展、フォーラムの成果をあわせた発表内容とする。
写真道場は、地元・長万部町を主要な撮影地とし、町中で働く人々や開拓農家、漁師といった、町を支える人々の多様な生活の姿を継続的に写真に収めた。彼らの写真活動の特徴は一つの地域を網羅的、長期的に、集団撮影していったことにある。中心的な会員は、土門拳が提唱した<リアリズム写真>の影響を色濃く受け、カメラ雑誌の月例欄や公募写真コンテスト、道展写真部門などに応募した。澤博らは全国、全道のアマチュア写真家と実力を競う<地方>のアマチュア写真家の一人であった。また、道内写真家の中でも早い段階に月例で評価を受けていた人物の一人、掛川源一郎(1913~2007)が、長万部町とは鉄路で一続きにある伊達市に当時在住しており、1958年から澤ら写真道場のメンバーと交流を行っている。掛川の代表作の一つである写真集『大地に生きる――北海道の沖縄村』(1980、第一法規出版)の撮影には、澤ら掛川を慕う撮影地在住の写真家の尽力があったことを本発表で示す。こうした広域の写真家同士の交流に関わって1950年代、北海道のアマチュア写真家で、特にリアリズム写真の傾向がある作風の集団が<生活派>と自称する。1958年、掛川が中心となり、澤ら写真道場の会員を含めた、地域を横断した写真グループ「道南写真作家集団」、同年12月に「現役作家のみによる自主的な集団」として別組織「北海道写真作家集団」が組織された。こうした道内写真家たちの活動については調査途上の段階であるが、写真道場の活動を検証する上で不可欠な要素と考え、紹介する。
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