近況報告

住んでいる町、羅臼町の北部で大きな崖崩れがあったことにこの数日うろたえていたのだけど、近所の人たちの井戸端会議情報やら、土日になって、崩れの向こうにいる仲の良い知り合いたちがギャラリーに来てくれるやら、道路も開く目処が見えはじめて人心地です。
自分自身は、被害を受けた人たちのことを思うと憚られますが、仕事しながら平穏に過ごしていました。

積んであった本の中から、今晩中に読みきるだろうと「崩れ」手に取りました。国のあやうさ人の心のあやうさと、山崩れ、大地の不確かさの重ねかたが、心をざわざわとさせます。

幸田文はすごい人だな〜。

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激烈と緩慢と-思えば大地の動くことの恐ろしさ。人は何の彼のと偉そうにしていても、足の下に動かない土というものがあってこそのこと。むかし子供のころ、動きなき大地とかいう言葉を教えられ、また若いころには、母なる大地とかいう言葉を聞いて、感嘆したこともあったけれど、どうしてどうして、大地は動くのだし、母も人間本来のもつ醜さをさらすこともある。
(幸田文「崩れ」1991、講談社)

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