しかし、オルテガも言うように、「(芸術)作品の人間的な内容に心を奪われていれば、原則として審美的な判断は不可能になってしまう」のである。
オルテガの言うことはまったく正しい、と私は思う。けれども私はオルテガが投げ出した地点で問題を投げ出したくない。そんなことをしたら審美的な反応を道徳的な反応から暗黙のうちに孤立させるだけのことだからだ。芸術は道徳と関係がある、と私は言いたい。

スーザン・ソンタグ「様式について」1965
『反解釈』(筑摩書房、1996)より

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